ペルチェの限界に挑戦
  • 実験の目的
  • 部品調達
  • 実験準備
  • 実験結果
1.実験の目的
ペルチェ素子の最高スペックに挑戦
一般的にヒートシンク熱側に猛烈な風を当てヒートシンク冷却、ペルチェ素子熱側を冷やしペルチェ限界冷却温度を試みましたが、強制風冷では排熱側が追い付かない、安定した温度が出ません、そこで今回は熱側ヒートシンクを水に浸し、風冷排熱では限界の排熱を、水冷排熱で促し、本当にカタログのスペックまでペルチェ素子が働くのかペルチェ素子がどれほどに性能を上げるのか今回検証です
2.部品調達
全体図
ペルチェ素子実験装置水槽にヒートシンクが完全に浸るまで水を入れ水に浸ったヒートシンクの上にペルチェ素子を置きます。
水槽右側にACアダプターAC100VをDC24Vに変換&可変電源装置で5V〜24Vまで自由に可変、DC電圧が分かるように電圧測定テスター、長時間の実験で可変電源装置がかなり熱くなるのでFANで電源装置を冷却しています。
水槽左下側デジタル温度計で温度を測定していきます。
ヒートシンク
ペルチェ素子実験装置水にギリギリまで浸かったヒートシンク
ヒートシンク上の白い部品がペルチェ素子&デジタル温度計
電源管理
ペルチェ素子実験装置 可変電源装置左 DC可変電源装置、今回は5V〜14Vで管理
下にACアダプターでDC24Vに変換
右 電圧測定テスター
3. 実験準備
電圧0V 測定前24.1度
ペルチェ素子実験装置測定前 0V
水槽に水をはり底に適当なヒートシンクを置きます、そしてヒートシンクの上にペルチェ素子を1枚置いて徐々に電圧を上げていきます。
5Vから14Vまで少しずつ上げていき温度計が安定したところで撮影しています
15.4Vまでペルチェは持ちこたえますが電源装置が瞬間なら15V出せますが持続的は無理なので14Vまでしか上げていません  
電圧5V 温度 -1.3℃
ペルチェ素子実験装置−1.3℃ペルチェ素子 5Vでテスト
DC5Vでマイナス1℃まで下がりました、意外とマイナスまで下がるんですね、ただしペルチェ素子表面温度になりますので、ここに冷却側アルミ放熱器など設置するとすぐ温度が変化します
DC5Vは実用的ではありませんが、水冷で冷やした場合安定してマイナスまで冷える事が理解できました
ちなみに風冷の場合8℃程度でマイナスまで届きません
電圧12V 温度−16℃
ペルチェ素子実験装置 −16℃ペルチェ素子 12Vでテスト
DC12Vで-16℃まで下がりました、さすが水冷ペルチェ素子条件さえ良ければここまで冷える
DC12Vまでの電圧は空冷でも安定して冷やせる電圧、排熱が追い着かない場合ペルチェが焼けて故障するので、この結果はとても良い結果が得られました
車のバッテリなどDC12V電源は多いので、これからもDC12V電源を中心に実験を進めていきます
電圧13V 温度-17.5℃
ペルチェ素子実験装置 −17.5℃ペルチェ素子 13Vでテスト
DC13Vで-17.5まで下がりました、実際の使用ではDC12Vまで印加すれば安定的に冷えると思いますが、安定して12Vではなく、突発して13Vまで上がる場合がありますのでその想定で13Vまでテストしてみました
12Vと13Vでは1℃の温度差です無理して13Vまで印加で熱焼けペルチェ素子の寿命を短くするよりか、12Vで排熱が安定的に間に合い長い時間ペルチェ素子が使えて方が効率が良いと考えております
電圧14V 温度−19.3℃
ペルチェ素子実験装置 −19.3℃ペルチェ素子 14Vでテスト
DC14V印加すると-19.3℃まで温度が下がりました、ここまで電圧を印加して長時間運転すると排熱側が間に合わずペルチェが焼ける可能性があり実用性ではNGですが、短い時間の実験的には成功です
今回のペルチェは150℃で内部金属が溶け出し使用不能におちいります
この実験ではなく他の実験で何枚も焼けて故障してます、実験は限界を知ることが一番大切です
4. 実験結果
今回単純な実験でしたが、水による吸熱効果に伴なう温度変化が理解しやすく実験結果からアルミヒートシンクはとても放熱性能がいいですが、風を送るだけの空冷では排熱の限界があり熱交換に限界がある事がはっきり証明されました
大量の水で冷やす アルミヒートシンク+水=水冷がペルチェ素子の性能を飛躍的上げる事を確認いたしました。
冷却の面で最低温度-19.3度まで下がりましたのでこれからの実験では長時間の耐久性、数週間数か月単位で検証、全体的な耐久試験を試みたいと思います
ホームに戻る